美しく見える寸法


 着物の寸法について仕立てを頼む方が、自分の寸法を全く分からないケースによくぶつかります。まず自分の寸法を空で言える方はよほど着物を着込んでいる方です。この頃では滅多にお目にかかることが無くなりました。
 それでも寸法書きのメモをお持ちの方はまだ良い方です。そして、その寸法が一番着やすい寸法ですか?と尋ねると少々自信のない様子の場合もあります。洋服は採寸をしてもらうのが普通ですが着物は仕立てる方に自分の寸法を伝えなくてはなりません。



自分の寸法を正しく伝える


 さて、自分の寸法をどのように決め、正しく伝えればよいでしょうか?着物を着るには、まず自分の体型を正しく知っているということが大事なことです。
着物の寸法

 それから大きな間違いの中に、着物は痩せても太っても融通がつくものだとお考えの方が多いことなのです。
 ですから若い時の寸法をそのままにしていられる方も多くいらっしゃいます。
 女性も20代にほっそりとしていても、少しずつ体型がふくよかになる方がほとんどです。その場合、まず身幅が狭くなってきます。
 特に上半身がふくよかになりますので、それを無理して着ていると苦しいし、身幅がはだけそうで美しくは見えません。
 でもそんなものだとけっこう我慢して着ている方が多いのが現状です。



具体的に、どこの寸法が合わないか確認する


 それではどうしたら美しい着物姿でいられるでしょう。私はまずご本人に、お手持ちの着物を着ていただきます。そしてどこの寸法が合っていないのか確かめます。現在の体型と、どこがそぐわないかはすぐ分かります。まず若いときの寸法では、全て合わなくなっているケースが多いのです。
 裄、繰り越し、身幅、袖丈、等々、順々に変えなくてはならない箇所を見つけ、現在の体型に合うように寸法を決定していきます。その方にちょうど良い寸法が決まれば、着たとき、とても美しい着物姿となります。



年代によって、寸法の見直しをする


 洋服のことを考えて下さると分かると思いますが何十年も同じ寸法では着られないはずなのに、どうも着物のことになると、寸法に無頓着な方が多いようです。中では若いときと身幅が全く変わらない方もいらっしゃいますが、それでも袖丈は年代と共に確実に変化していきます。

鯨尺とm法の換算 寸法の見直しは若い時に一回決めた後に、30代から50代位までの間にもう一度、さらに50代過ぎてから、見直すくらいは必要です。
 昔の寸法が本当に自分に合っているかどうか確かめてみたり、自分の着にくいところがどこなのか確認することが大切です。
 そして実際に、着物を仕立てる時に、どこが合わないか正確に伝えること、呉服屋さんが昔決めてくれた寸法をいつまでも使わないこと、を心掛けて見て下さい。
 寸法の見直しが、自分で分からなければ、着物を製作する方や、仕立てる方に伺えば体型に合った寸法を教えてもらえます。

 正しい寸法が綺麗な着物姿を生み出しますから、着物を着るにはここからがスタートです。着物を作る度に採寸が必要というわけではありませんが、15年に一度くらいずつ、または極端に体型が変わられたりしたときは、気にして下さい。
 着物の寸法は、S、M、Lとは割り切れないのです。自分の正しい寸法が分かったら必ず記録してコピーしておくようにしましょう。

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