夏のお招きには


 日本の夏、蒸し暑くて着物を着るのは大変だと多くの人達が思うのですが、クーラーも何もない時代から日本女性は夏だって着物で過ごして来たのですから、決して着られない訳はありません。
 四季に合わせた素材もあります。夏の装いこそ素敵と思われるので、着物を着る機会を積極的に取りいれてみましょう。きっとメリハリのあるお洒落が楽しめることでしょう。



夏のお呼ばれの着物


1.素材について

 どんな素材があるでしょう。ここでは7月と8月の盛夏に限って話しを進めて参りましょう。まず薄物といわれる生地を挙げて見ますと「絽」と「紗」が最も代表的な物でしょう。そのほかには紬系統の夏向きの素材もあります。
 一般的には夏のお呼ばれの時に着ていくのは小紋、付下げ、訪問着など、よそ行きの着物なので織りの夏物については趣味の装いになりますからここでは省略いたします。
 染めの着物に使用する素材はやはり「絽」「紗」が多いのですが、絽にも紗にも無地で地紋がないものもあれば、地紋のある紋絽や紋紗もあります。また絽目が縦になっている「縦絽」というのもあり更に地紋のある「紋縦絽」というのもあります。

2.着物の種類について

 夏は袷を着る冬から春よりは、着物を着る機会が少ないのでどんな着物を用意したらよいかということになります。普段のものはさておき、ここではお呼ばれの時に何を着たら良いのかと焦点を絞って考えるとして、訪問着をお作りすることをお薦めします。
 つまりここ一番、という7月や8月のパーティや結婚式にお召しになることならよそ行きの夏の訪問着があれば大安心です。夏に呼ばれますと、さあ何を着て行こうかと悩む方も多い筈です。
 ご存知のように着物姿は、エレガントでもあり豪華なので夏のお集まりは会場を華やかに彩り、主催者も喜ばれる事でしょう。
 夏の着物は沢山は揃えなくても、素敵な夏の訪問着が1枚あればもう大丈夫です。どんなパーティでも結婚式でも何を着ようかと心配はありません。長く着られる訪問着にご紋でも付いていれば尚、良いことでしょう。
 夏の集まりは避けたいとか思わずに、気に入った夏の正装をお持ちになることを私は提案したいと思います。若い方にも是非お薦めします。

  昨今は結婚式の会館やホテルの都合で、お客様を呼ぶ方の方々が冬場の結婚式の装いとなり、冬ものを使う事が多くなり、お呼ばれの方達はどんな装いでいったらよいかと迷い、相談されることも多いのです。
 その結果まちまちの装いで、冬と夏が入り混じった装いが会場で混在してしまっているのにはがっかりしてしまうのです。
 ホテルや会館では、夏の着物は生地が薄く貧弱だからと冬の着物でと言われるそうですが、もともと夏の着物、特に正装のものが衣裳部に少ないのです。
 それで主催者に会わせなくてはまずいかと夏でも冬物を着るなどという珍現象が起きるのです。主催者はともかく、呼ばれるお客様は家から着物を着てでかけるのですから、真夏に冬物を着ていくというわけには参りません。
 昔から日本には夏には夏の正装も存在していて今のようにクーラーがなくてもきちんと夏の着物で何かの時には装っていた暮らしがあったのです。ですから今日、社交着としての位置として着物生活を楽しみたいのであれば、どうぞ着物好きな皆様には見識を持って盛夏には夏の正装で、どんな集まりにでもお出かけ下さい。



その他の提案


 では6月には何を着たらよいのかと結婚式の多い月でもあるので質問をされることがありますのでこの月についても少しお話しておきます。
 正式には単衣や絽縮緬の訪問着があれば言うことはないのですが、6月は暑い日も多くあります。「絽」の素材であれば着ても良いです。とすれば「絽」の素材の訪問着をお持ちなら6月、7月、8月と着ますので、初めて作られるなら「絽」で作ることを提案します。
 そして夏は小物も夏の素材と言うことをお忘れなく、涼やかにエレガントに装って夏を楽しみましょう。夏の着物姿は格別に美しい人に見えます。



まとめとして


 6月に相応しい素材は、単衣の訪問着で生地はしっかりした物であれば「綸子」でも「縮緬」でもよい。もちろん「絽縮緬」そして7月、8月にも着れる「絽」でもよい。7月、8月の盛夏は「絽」または「紗」いずれも地紋があっても良い。

 このようにすると「絽」の素材は大変に便利で、6月、7月、8月と通して着用出来ることが分かるので、初心者は絽で作られるよそ行きが1枚あると安心です。
 以上、夏のよそ行きとしての着物に焦点を絞り述べてみました。素敵な素材は夏には多くあります。夏を恐れず夏にも着物でお出掛けしようと考えて下されば嬉しい事です。

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